冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
「可愛いだろ。紹介するよ。砂羽だよ。彼はジェシー」
霧矢に紹介した時と同じ内容だが、兄の声は若干、硬い。緊張しているのだろう。
「初めまして。あなたのことは和希からよーく聞いてます。うふふ」
敵意を向けられて、ビビりながら頬を引き攣らせて笑う。
「和希に、その肉肉しい物を当てるんじゃない。和希が汚れる」
(肉肉しいってこの胸ですか⁈)
失礼な男を煽るように、大きな胸を更に和希の腕に密着させ見せつけた。
怒りで顔が歪めるジェシーが嫉妬している事にご満悦顔でいる兄に呆れる。と同時に、目の前の霧矢がジェシーに敵意を向け睨んでいる様子は、失恋確定で、砂羽の胸が痛んでいく。
「砂羽のこの柔らかさがいいんだよ」
「君は、僕の方がいいに決まっている」
砂羽の反対側で兄の肩を抱いたジェシー。
すると、兄の頬が染まると、砂羽に向けて勝ち誇った笑みを浮かべるジェシーだった。
失恋したと思いこむ砂羽は、嫉妬させる為の作戦とはいえ、この場にいることが辛くなっている。
目の前には、まだ、尊いご尊顔を険しくさせる男がいて、睨まれているのだ。
「君は、もう僕の恋人じゃない」
「僕は、別れるなんて言ってない」