冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
お兄ちゃんと言いそうになり、慌てて誤魔化した砂羽だった。
「そうだな。和希の彼女が君だとは、残念だよ」
「すみません。和希の彼女がこんなちんちくりんで」
やはり、観賞用は観賞用にしておくべきだ。
こんな失礼な人だったとは…。
憤慨する砂羽は、「ここで結構です」と掴んでいた腕を離し怒りに任せて歩く。
が、自分の足元がヒールのある靴だと怒りで忘れて、溝を塞ぐ蓋の隙間に踵を引っ掛けて、前のめりに転んでヒールが脱げてしまう。
「うっ、」
強く打ち付けジンジンする膝。
「大丈夫か?」
駆け寄ってきた霧矢は、ヒールを拾い、痛みで動けない砂羽をお姫様抱っこして持ち上げた。
至近距離に尊いご尊顔、息遣いと引き締まった体をもつ男に触れられた砂羽はいろいろと恥ずかしい思いをする。
霧矢の方は、腕に収まる小さな体から盛り上がる柔らかさが胸に当たり、平常心を装うのに精一杯でいる。
「俺のコテージに行けば、救急箱があるはずだ。ひとまず手当てをしよう」
「すみません。ご迷惑おかけします」
「いや、俺が君を怒らせることを言ったからだ。だが、誓って君を傷つけるつもりで言った言葉じゃないんだ。兎に角、先に手当てしよう」