冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて

「どうして、和希の彼女なんだ。俺が先に声をかけていたら、君は、俺の隣にいた可能性はあっただろうか?そんなことばかり考えていた。だから、つい、さっきは、あんなことを言ってしまったんだ。すまない」

予想だにしない内容に、砂羽は声もでない。

そんな砂羽の手を握り、拒絶されないと気づいた霧矢は、彼女を堕としにかかる。

「俺を選べ。あいつなんかより幸せにする」

「西園寺さんもお兄ちゃんを好きなんじゃないの?」

「…俺の恋愛対象は女で、今、君を口説いているんだが!お兄ちゃんとは、和希のことか?」

嬉しさで口が滑ってしまったと思った時には遅く、西園寺さんに悟られてしまう。

「はい」

「和希の恋人のふりをしていたのか?」

「騙すつもりはなかったんです。お兄ちゃん、ジェシーとケンカ別れして、向こうの気を引きたくて私を彼女役にして嫉妬させる作戦だったんです」

「そうだったのか。おかしいと思ったんだ。和希が女に恋愛感情をもつ奴じゃないのに、君を愛しそうに見つめているから、目の前の現実は本当なのかと、じれて焦っていた。君が和希の腕に抱きついて、嫉妬でおかしくなりそうだったんだ」

(そうか、西園寺さんはお兄ちゃんの性の対象を知っていたのね)

「睨んでいたのは、お兄ちゃんが好きだからじゃないんですね」
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