冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
(どうしよう。彼に抱かれる時に鼻血なんて出さないようにしないと)
おかしな方向にイメージトレーニングする砂羽は、残念女子である。
そして、想像以上の砂羽の柔らかな肉体に、我慢をしいる霧矢も、クールな見た目と違い残念な男なのである。
それなりに恋愛経験はある霧矢だが、自分から迫ったこともなく、性欲の薄い淡白なほうだと思っていた。
なのに、砂羽に一目惚れしてから、想像の中で砂羽に、ガンガンと迫って何度も抱き潰している。
そんなことを知られては嫌われると、欲望を我慢し、触れるキスだけにとどめ、さりげなく抱きしめて砂羽の柔らかな胸を腕に感じることで
満足することに留めた霧矢だったが、現在、クールな表情で招待客を見送りながら、砂羽との甘い関係に持ち込む作戦を模索中とは、誰が想像できるだろう。
見送りが終わり、戻ってきた霧矢。
「ここに泊まっていかないか?まだ一緒にいたい」
「ごめんなさい。お兄ちゃんが気になって」
「…わかった。送ってく」
断る理由に、わかりやすく張りのない声で落ち込む霧矢に、心を動かされそうになるものの、
兄を放っておくことはできなかった。
コテージの内から、兄とジェシーの言い争いが聞こえる。