冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
霧矢は眉間を指先で押さえて、ため息をつく。
「これで解決だな」
「解決してないよ。彼女ってなに?砂羽と霧矢は初対面だよね」
「霧矢さんとは、ジョギング仲間で、前々から素敵な人だなぁって思っていたの」
「えっ、嘘ついてない?お兄ちゃんがついているから、本当のこと言っていいんだよ」
「本当だ。ジョギングですれ違う砂羽に好意を持っていた。今日は、ずっとお前が憎らしくて、どうやって奪ってやろうかと考えていたさ」
「えっ、例の彼女がまさかの砂羽。それで、ずっと僕は睨まれていたの⁈」
「砂羽の彼氏がお前なんて、ありえないだろう。白い交際なんて砂羽が不憫だ。俺なら、とことん甘やかして蕩けさせることができる。砂羽を愛し幸せにする。苦労なんてさせない」
砂羽に向き合って、膝をついた霧矢。
「プロポーズは改めてする。生涯を共にすることを前提で、付き合ってほしい」
「はい、嬉しいです」
「ありがとう。俺を選んだことを後悔させない」
和希達の前だというのに情熱的にギュッと掻き抱く。
霧矢の引き締まった筋肉質の体に、砂羽は密やかに頬ずりし、頬が緩む。
(あーいいわ。この筋肉)
砂羽が悦に入っているとは気がつかない霧矢が、交際を申し込んだ時点で結婚までスピーディーに事を進めるつもりでいるとは、砂羽は知ることはない。