冷徹御曹司かと思っていたら溺愛御曹司でした〜甘い束縛にとらわれて
霧矢の本気度に、和希は圧倒されて言葉詰まらせる。長い付き合いのある霧矢という男の執着さを知っている和希は思う。
西園寺 霧矢という男は、フェチで変態なのだ。
好きな女限定なので他には無害なのだが、霧矢は胸フェチなのである。
毎度、週末が明けて出勤した霧矢が、愛しい彼女に出会えたかで仕事のはかどり具合に左右される。
『あぁ…女神。あのたわわな胸が揺れて眼福だった。お前にはわからないだろう』
霧矢がクールな顔でこんな事を言っていることを知るのは、和希のみ。
その女神が妹だったとは、まさかのまさかだった。
霧矢の抱擁に疑いも持たず、嬉しそうにしている妹を見て、本人が気にならないならいいのかもしれないと、余計な思考を遮断し、西園寺グループの発展の為、妹には犠牲になってもらおうと和希が思っているとは砂羽は知る由もない。
結婚が先かそれとも妊娠する方が先かは、神のみが知る。
霧矢とは翌朝レストランで落ち合う約束をし、その日の夜は、兄と一緒にコテージで寝ることになる。
翌日、寄り道してきたせいで、遅れてレストランに入ると、砂羽達のように遅れてきた招待客が数組だけで、皆、早々に帰宅したようだ。
窓際のテーブルにつくと、招待客と雑談していた霧矢がやってきて外国映画のワンシーンのような動作で、砂羽の頬へ軽くキスし、隣の椅子に腰を落とした。