片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして
 私が後輩のフォローするよう、部長がわ私のフォローをするのは組織として当たり前であるものの、じゃあよろしくお願いしますとはならない。

 部長は席に付き、パソコンを起動する。

「ここまでやってくれたら後は僕でもやれる。ありがとう、助かった。それとデートに行けなんて意地悪な言い方して大人気なかったな」

「いえ、そんなことは……」

 私の仕事への貢献度は知れているが、それでもコツコツ積み上げてきた部分を部長は評価してくれる。
 その信頼を裏切るのは心苦しく、私もパソコンを開いた。

「町田?」

「修正をやらせて下さい!」

「デートはどうするの?」

「間に合うようにやります! デートには絶対に行きたいので!」

 決心したなら、お喋りをする暇はない。ワンピースの袖を捲くるとセットした毛先を束ね、画面に集中する。

「こんな頑張り屋の部下を奴に取られるのは癪だね」

 そんな部長の声は私に届かなかった。 
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