しきたり婚!~初めてを捧げて身を引くはずが、腹黒紳士な御曹司の溺愛計画に気づけば堕ちていたようです~
「衣都ちゃんは『イーグル商事』って知っているかしら~?こちら、『イーグル商事』を経営している尾鷹家のお嬢さんなの~。文化振興財団の活動にご興味があるそうで、今回ご一緒したのよ〜」
『イーグル商事』の名前は衣都ですら聞き覚えがある。国内でもトップクラスの貿易会社だ。日本の物流を担う四季杜との付き合いも深い。
衣都は慌てて頭を下げた。
「三宅衣都です。本日はご来場頂きまして、ありがとうございます」
「アットホームで素敵な発表会でした。講師の方々の日頃のご指導の賜物でしょうね」
紬は衣都に労いの言葉をかけると、綾子と一緒にコンサートホールから帰って行った。
親子ほどの年齢差がある二人だが、互いに気の置けない友人のように笑い合っている。
(おば様が若い女性と一緒なんて珍しい……)
二人の背中を見送った衣都はなぜか違和感を覚えた。
しかし、結局その正体は最後まで掴めなかったのだった。