氷の華とチョコレート

「誰にでも触れられたくないことはあるから、……オレの方こそゴメン」


 あっ……。

 そう言うつもりじゃなかったのに、逆に、謝らせる形になってしまった。


「……」


 どうしたら、上手く伝わるだろう?


「あのっ……、私、氷の華とか呼ばれるのが、凄く嫌で……」

「……」

「時々、聞こえる噂とか、本当の私ではない自分が一人歩きしているようで……」


 落ち着かないんです。


「本当の私は、接客が苦手で、黙々とする作業の方が好きで……」


 人の顔色を見ながら自分を守って


「友達とのランチや買い物が好きな、普通のOLさんを夢みてる、地味な性格なんです」

「……」


 あ、れ?

 私、どうして急に、真間さんにこんなことを話してしまったんだろう? 今日初めて、一緒に出かけただけの男の人、なのに……。



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