君の隣で歌いたい。
♢♢♢


「もう、せっかく初春のお友達が来てくれたのにいきなりスタジオに引っ張って行っちゃうんだから」

 ふわりと微笑むその姿は女神のようだ。

 沢里はお母さん似だなと思いながらいい香りのする紅茶を頂く。

 お洒落なお茶請けに混ざって私の作ったアップルパイが並ぶのを複雑な気持ちで見つめていると、沢里のお母さんはまたふわふわ笑う。

「初春がお友達を家に連れてくるなんて小学校の時以来。仲良くしてくれてありがとうね」

「あっいえこちらこそ沢里くんにはお世話になりっぱなしで。今日はsawaさんに相談したい事があって、お邪魔しました」

「そうだったの。最近あの子がよく笑うのはきっと凛夏ちゃんのおかげね」

 パステルカラーのマカロンを頬張りながら私は首を傾げた。

 沢里はいつも笑っている気がする。

 そう告げると沢里のお母さんはまん丸の目をさらに丸くする。

「そう……なら初春は転校して正解だったのね。少し心配していたの。新しい学校では上手くやれてるのか」

 転校。その言葉を頭の中で反芻する。確かに沢里は時期外れに現れた転校生だった。

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