君の隣で歌いたい。


 沢里が前の学校に戻る?

 そんなことは考えてもいなかった。しかし彼らの言い分も分かる。

 音楽の道を志すならその専門コースにいた方がいい。

 沢里がいなくなってしまうかもしれない。

 一人で不安になっていると沢里は私の頭に手を置いて穏やかな笑みを浮かべた。

「俺はもう戻らない。お前らも頑張れよ」

「そ、そうか」

 沢里の答えにほっとしたが、本当にこれでよかったのだろうか。

 ただ、彼らに沢里の実力を見てもらえたことで沢里の心が少しでも晴れていればいいし、沢里の笑顔を見ると、きっと意味があったのだと思えてくる。

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