夫婦ごっこ
「……いいですね。ごめん、私生方さんと行くから、やっぱりご飯は二人で行って?」
「奈央! お前もっと警戒心持てよ」
「ちょっと! 修平、失礼だよ」
心配はありがたいが、本人を前にしてのそれはさすがに彼の気分を害してしまうだろうと奈央は慌ててたしなめた。奈央とて何も考えずに誘いに乗っているわけではない。危ない橋を渡らないだけの心得はあるつもりだ。
修平を一度引き離そうと奈央が義昭に背を向けて少し移動しようとしたら、すぐに義昭が割って入ってきた。
「いえ、あなたの心配はごもっともかと。少しお待ちくださいね」
義昭は持っていた鞄を開くと中から小さなケースを取りだした。さらにそのケースを開くと中から取り出した小さなカードを奈央と修平と由紀それぞれに手渡してきた。受け取ってみれば、それは義昭の名刺だった。
「これ私の名刺です。事務所のホームページを見ていただけたら顔写真も出るはずです」
名刺には税理士事務所の名前が書かれている。どうやら彼は税理士らしい。義昭の言葉を聞いて、修平はすぐさま名刺に記載されている事務所名で検索し、表示された事務所のホームページから義昭の紹介ページを開いていた。確かに彼の顔写真が載っている。
「問題を起こせば信用問題にもつながりますから、滅多なことはしませんよ」
「すみません、疑うような真似をして。もういいでしょ? せっかく同じ趣味の人見つけたんだから私ももっと話したいし。だから、二人でご飯行っといでよ」
「……家帰ったら連絡しろよ?」
「わかった、わかった。連絡するから」
渋々ではあったものの最終的に修平も由紀も納得して、二人だけで食事に行ってくれた。二人の誘いを断ったことに罪悪感が湧かないでもないが、それよりも二人から解放されたという安堵感のほうが大きかった。
「奈央! お前もっと警戒心持てよ」
「ちょっと! 修平、失礼だよ」
心配はありがたいが、本人を前にしてのそれはさすがに彼の気分を害してしまうだろうと奈央は慌ててたしなめた。奈央とて何も考えずに誘いに乗っているわけではない。危ない橋を渡らないだけの心得はあるつもりだ。
修平を一度引き離そうと奈央が義昭に背を向けて少し移動しようとしたら、すぐに義昭が割って入ってきた。
「いえ、あなたの心配はごもっともかと。少しお待ちくださいね」
義昭は持っていた鞄を開くと中から小さなケースを取りだした。さらにそのケースを開くと中から取り出した小さなカードを奈央と修平と由紀それぞれに手渡してきた。受け取ってみれば、それは義昭の名刺だった。
「これ私の名刺です。事務所のホームページを見ていただけたら顔写真も出るはずです」
名刺には税理士事務所の名前が書かれている。どうやら彼は税理士らしい。義昭の言葉を聞いて、修平はすぐさま名刺に記載されている事務所名で検索し、表示された事務所のホームページから義昭の紹介ページを開いていた。確かに彼の顔写真が載っている。
「問題を起こせば信用問題にもつながりますから、滅多なことはしませんよ」
「すみません、疑うような真似をして。もういいでしょ? せっかく同じ趣味の人見つけたんだから私ももっと話したいし。だから、二人でご飯行っといでよ」
「……家帰ったら連絡しろよ?」
「わかった、わかった。連絡するから」
渋々ではあったものの最終的に修平も由紀も納得して、二人だけで食事に行ってくれた。二人の誘いを断ったことに罪悪感が湧かないでもないが、それよりも二人から解放されたという安堵感のほうが大きかった。