夫婦ごっこ
 義昭はやはり話を聞くのがとても上手くて、ずっと奈央がしゃべっていた。奈央と義昭は随分と趣味が似通っているようで、何を話しても盛り上がった。コーヒー一杯分の時間なんてあっという間に過ぎ去った。

「なんだかすみません。こんなにたくさん話してしまって」
「なんで謝るんですか? とても楽しかったですよ?」
「生方さん、本当にお優しいですね。ありがとうございます。私もとても楽しいです」
「それならよかった。まだまだあなたの楽しい話を聞きたいところですが、大分時間も経ってしまいましたね。時間が許せばで構いませんが、あともう少しだけ付き合ってもらえませんか?」
「はい、いいですよ」
「じゃあ、少し移動しましょう」

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