夫婦ごっこ
「ごめんね? で、何があったの?」
「私、告白したら振られたんです」
「あー、そっち方面で荒れてんのね。失恋ならしゃーない。飲むの許そう」
久美はそう言って、余っていたグラスにビールを注ぐとゆめに差し出している。奈央はそれをじっと見つめながら、自分も手元のお茶を飲み、体内へ流し込んだ。唐突に始まった失恋話に自分の状況が頭をよぎって苦しくなってしまったから、冷静さを取り戻したくてそうしていた。奈央は動揺している自分を悟られないよう、二人にはわからない程度でふーっと深く息を吐きだし、ひっそりと気を引き締めた。
「もう、失恋って決めつけないでくださいよ」
「は? だって振られたんでしょ?」
「振られました……三回も」
「え? え? 三回? えーっと、それは同じ人に?」
まさかの回数に驚いて、奈央は思わず聞き返してしまった。ゆめの言い方だときっと短期間に三回振られたということだろう。さすがに短期間に違う人三人に告白するような節操なしには見えない。かといって、同じ人に三回も告白するという状況もよくわからなくて、奈央は軽い混乱を覚えていた。
「同じ人です。そんな簡単に好きな人ころころ変わりませんよ」
違う人だと言われても困るが、同じ人だと言われてもまだ奈央はゆめの状況をよく飲み込めなかった。奈央はたった一回すらできないというのに三回とはどういうことなのか。まったくもって理解できなかったが、人の考えは違って当然だし、別に悪いことをしているわけでもないから、回数についてはもう考えないでおくことにした。
「私、告白したら振られたんです」
「あー、そっち方面で荒れてんのね。失恋ならしゃーない。飲むの許そう」
久美はそう言って、余っていたグラスにビールを注ぐとゆめに差し出している。奈央はそれをじっと見つめながら、自分も手元のお茶を飲み、体内へ流し込んだ。唐突に始まった失恋話に自分の状況が頭をよぎって苦しくなってしまったから、冷静さを取り戻したくてそうしていた。奈央は動揺している自分を悟られないよう、二人にはわからない程度でふーっと深く息を吐きだし、ひっそりと気を引き締めた。
「もう、失恋って決めつけないでくださいよ」
「は? だって振られたんでしょ?」
「振られました……三回も」
「え? え? 三回? えーっと、それは同じ人に?」
まさかの回数に驚いて、奈央は思わず聞き返してしまった。ゆめの言い方だときっと短期間に三回振られたということだろう。さすがに短期間に違う人三人に告白するような節操なしには見えない。かといって、同じ人に三回も告白するという状況もよくわからなくて、奈央は軽い混乱を覚えていた。
「同じ人です。そんな簡単に好きな人ころころ変わりませんよ」
違う人だと言われても困るが、同じ人だと言われてもまだ奈央はゆめの状況をよく飲み込めなかった。奈央はたった一回すらできないというのに三回とはどういうことなのか。まったくもって理解できなかったが、人の考えは違って当然だし、別に悪いことをしているわけでもないから、回数についてはもう考えないでおくことにした。