氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。
気障な子供紳士と食事をしながら、会話を続ける。
「ところで、坊ちゃんの年齢はいくつですか。」
「フッ、やれやれ…この俺を子供扱いできる女は、星羅だけなんだぜ…。」
「質問に答えて下さい。年齢はいくつですか。」
「今年で12歳になったんだぜ。」
私は腕時計を見た。
時刻は21時になりつつある。
それを確認してから、私は子供紳士に告げた。
「そうですか。子供はもう寝る時間ですよ。」
すると、宗像シドが髪を掻き上げながら言った。
「フッ、今夜は星羅の為に、このホテルのスイートを取ったんだぜ。俺は最初に言ったはずだぜ、今夜はお前を帰さないと…。」
「で?」
「え?」
「私をホテルのスイートに連れ込んで、何をするんです。」
私の質問に、宗像シドがようやくその気障な口を閉じ、困惑顔になる。
答えを用意していなかったというより、自分でも答えが分かっていないという顔だ。
先程までの威勢はどこへやら、宗像シドが急に大人しくなって、私に意見を求める。