氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。
「い、いい加減にしなさいっ…宗像…シド…君っ…!」
私が初めて彼の名を口にした瞬間、宗像シドが私の腕をパッと放した。
いきなり放されたので危うく転びかけたが、そこは氷の女の意地で何とか踏ん張った。
互いに力を出し尽くしたせいで、私も宗像シドも息が切れていた。
1分間のクールダウンの後、辛うじて大人の余裕を取り戻した私が先に口を開く。
「…宗像シド君。あなたの部屋までご一緒できなくて残念ですが、私は明日も仕事で早いのです。今日はありがとうございました。」
ドライな声音で告げると、宗像シドはガックリと肩を落とした。
彼は曲がりなりにも紳士らしく、これ以上無理に自分の我儘を通そうとはしなかった。
何か言いたそうにジッと見つめてくるが、しかし、そんな彼に私がしてやれる事は何もない。
「おやすみなさい、坊ちゃん。」
短く告げて、彼に背を向けた。
その時だった。