氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。
電話の向こうで、阿良々木が嬉々としてほざく。
『実は14番目の息子が私を頼ってきてくれるのは、今回が初めてのことなんです。私は恋のキューピット役として、彼の初恋を全面的にバックアップするつもりです。というわけで、今からあなたのカードとスマホを停止します。』
「…何の為に?」
『息子の初恋を実らせる為に。』
「何故カードとスマホを停止することが、御子息の恋愛成就に繋がるんです。」
『そうすれば、あなたは14番目の息子に頼らざるを得ないでしょう。』
「阿良々木、あなた、今どこにいるんですか。」
『私の居場所を聞いて、どうするんです。』
「あなたを殴りに行きます。」
『今は沖縄にいます。怖い女に捕まる前に、私は米軍の友人に協力を仰ぎ、予定を少々早めてカタールに向かいます。』
「はぁ?」
『帰国したら連絡しますので、それまでウチの息子と仲良くしてあげて下さい。』
「待ちなさい、阿良々木。私を置いていくなんて、絶対に許さなー…。」
『では、後は若い2人に任せて、年寄りは退散します。ああ、一応正式に婚約するまで、避妊だけはちゃんお願いします。』
「だから、待てと言ってるんだ、このクソー…!!」
が、声を荒げようとしたところで、一方的に電話を切られた。
怒りのやり場を失った私の耳に、虚しいツー音だけが響く。