氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。




宗像シドが自分の頼もしさをアピールするように、胸をドンと叩く。

「そういうことなら、お安い御用なんだぜ!寧ろこんな美女が俺を頼って訪ねてくるなんて、男冥利に尽きるってもんなんだぜ!星羅、好きなだけここにいるといいんだぜ!」

「ありがとうございます。」

「フッ、俺が星羅の『ぱとろん』になってやるんだぜっ!」

「………。」

果たして宗像シドはどこまで意味を分かって言っているのだろうかと、疑問に思った。

この少年は際どい台詞を連発する割には、純真無垢な瞳をしている。

意味を分かって発言しているようには見えなかった。

恐らく、彼の周囲にこういう台詞を日常的に口にするろくでもない大人がいるのだろう。

何はともあれ、生活拠点を確保できたことには安堵した。

が。

「その代わりっ!」

「…その代わり?」

「その代わり、星羅がここにいる間、お、俺のことを本当の恋人と思ってほしいんだぜっ!」

「分かりました。」と、私はあっさり彼の条件に応じた。

瞬間、宗像シドが面食らった様子で叫ぶ。

「えっ!?ほ、本当にいいの!?」

私は黙って頷いた。

私にとっては『見合いごっこ』が『恋人ごっこ』に変わっただけで、大した違いはない。

自分で条件を出したにも関わらず、目を白黒させている小さな恋人に向かって言う。




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