氷の女と呼ばれた私が、クソガキ御曹司に身も心も溶かされるまで。
反射的に悲鳴を上げそうになって、ギリギリのところで呑み込んだ。
声の方は何とか堪(こら)えることが出来たが、しかし、理性の方は耐えられそうになかった。
彼女の全てが俺の五感を刺激して、秒で我慢の限界がやってくる。
こ、これはかなりまずいんだぜ…。
一刻も早く抜け出さないと、もっとまずいことになっちゃうんだぜ…。
しかし、星羅さんの腕は思ったより力強くて、なかなか脱出することが出来ない。
そうして危うく狼になりかけた俺を元の理性ある人間に引き戻してくれたのは、星羅さんの心音だった。
トクントクンと一定のリズムで刻まれる鼓動が、まるで子守歌の様で。
彼女が生きているという確かな証を肌で感じて、俺の理性は次第に落ち着きを取り戻していった。
そっと目を上げ、彼女の寝顔を見る。
至近距離から眺める最愛の女性の寝顔はー…。
「くっ、阿良々木め…絶対に許さん…帰ってきたら…絶対に…狸汁に…してや、る…。」
何だか悪夢にうなされていて、とても寝苦しそうだった。