派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
 そのページには、一人の男性の絵が載っていた。その名前は、オルディネス。今から遥か昔に活躍した魔術師の一人であるそうだ。
 そのページには、オルディネスが実際に残したとされている文書も記されていた。その筆跡は、確かにあの時見たものによく似ている。

「オルディネスは、かつて存在していたとある王国において活躍していたそうです。ただ、その国は他国からの侵攻を受けて滅びました。その際に、オルディネスも亡くなったとされています」
「しかし、その妻であったネルメアともども、二人が実際にどのようにして亡くなったのかは判明していないようなんだ。それで、僕達は考えた訳さ。もしかしたら、このネルメアというのが、シャザームの正体なんじゃないかってね」

 メルティナとキャロムの言葉に、私はその記述を見てみた。
 確かに、二人の言う通り、この夫婦が他国の侵攻で本当に亡くなったかどうかはわからないようである。
 そのため、暗黒の魔女の正体がネルメアという女性であったということも考えられない訳ではない。状況的には、それが濃そうとさえ思える。

「そして、シャザームの目的は、夫を復活させることなのではないかと思うのです。発見した未知の魂は、分割された状態でしたから……」
「夫の復活……」
「……ただ、もしそうだとしたら、かなり危険だと思いました。オルディネスという人物が、どういう人物か残っている記述を見ていると……」
「……そうみたいだね」
< 231 / 334 >

この作品をシェア

pagetop