派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。
「……一体、この世界に何が起こっているの?」
「……シズカ様、暗黒の魔女が持っていた魂奪取魔法に関する資料を覚えていますか?」
「え? ああ、あの暗黒の魔女以外の人物が記したという資料のこと?」
「ええ、あの資料を書いたのが誰なのか、それが暗黒の魔女の真の目的を探る上で重要なことだったのです」

 メルティナの言っている資料については、よく覚えている。暗黒の魔女が魂奪取魔法の開発者ではないという事実は、とても印象に残っていたからだ。
 しかし、あの資料を書いた人物が重要とはどういうことだろうか。そこまで考えて、私はとあることを思いつく。

「……まさか、あの資料を書いた人物も、魂となってこの世界に残っているということ……?」
「流石ですね……恐らく、そうだと思います」
「でも、その人物と暗黒の魔女にどういう関わりが?」
「この本を見てください」

 そこで、私はメルティナから一冊の本を差し出された。それは、歴史上の偉人達に関する本である。
 その本には、しおりが挟んであった。私は、そのページを開いて、目を通していく。

「オルディネス……それが、魂奪取魔法を開発した人物だと私達は、予測しています」
「この人が……」
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