【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!
 次に目覚めた時には、セレーナは国立病院のベッドに横たわっていた。

 医者によると、幸い命に別状はなく、怪我も数日程度で治るとのことだ。
 
 セレーナが目覚めたと知るや否や、騎士が数名やってきて「名前は?」「親はどこにいるんだ?」などと、身元確認の質問をしてくる。
 
 こうなることは想定済み……。
 セレーナは頭を打ったのを理由にして記憶喪失を装い、騎士の問いかけ全てに「覚えていない」と回答した。

 騎士団で調査が行われたようだが、セレーナは元々名前すらない下層の人間で、おまけに顔も変わっているため、身元が割れることはなかった。

「まいったな。あの子は、いったい何者なんだ?」
 
「馬車を操っていた御者によると、あの少女は意識を失う直前、自分はバレリー伯爵の娘だ、父親に会いたいと言っていたようです」

「バレリー伯爵の娘だって? あそこの子供は、ご令嬢ひとりのはずだろう」

「庶子……ということでしょうか……?」

「…………かもしれんな。なんにせよ、これ以上騎士団(うち)ではどうすることもできない。伯爵の娘だと言うのなら、引き取ってもらうしかないだろう」

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