エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「どこに出かけていたのか、聞いても?」

 私がトマトのファルシーに取り掛かった頃、しばらく黙っていた北斗が口を開いた。

「大した場所じゃないよ」

「……そうか」

 帰ってきた時も似たようなやり取りをした気がする。

 私の動向を把握しておきたいということだろうか。

 北斗は少し不満げだったけれど、やはりあなたの力になりたくて勉強していると伝えるのは気が引ける。

「あなたこそ、今日は早かったよね。なにかあったの?」

「仏頂面の上司より、君の顔を見たくなっただけだ」

「私が仏頂面をするようになったら残業が増えたりして」

「妻が待っているのに、どうして仕事をしなければならない?」
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