エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 私は復讐のため、利用できる妻としてここにいる。

 贖罪を果たすまで、本当の妻のように振る舞うのは間違いだ。

「どうした? 口に合わなかったか?」

 声をかけられ、はっと顔を上げる。

 いつの間にか手が止まっていたらしい。

 不思議そうな北斗と目が合い、愛想笑いをして首を左右に振った。

「ちょっとぼんやりしてただけ。おいしいよ」

「……そうか」

 納得しているとは言い難い目で見られるも、ほかにどう言えばよかっただろう。

 私の頭が、いつも北斗でいっぱいになっていると知ったら。

 その時の彼が笑っているのか、そうでないのか、想像できなかった。



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