エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 北斗だけは巻き込みたくなかったから、結婚を白紙にする理由は絶対に言えない。

 そうなると残されたのは、彼が絶対に結婚しないと思うくらい、私を嫌わせることだった。

 なんて自分勝手で、最低な人間だろうと今も思う。

 きっともっとほかのやり方があったはずなのに、安直な方法しか思いつかなかった。

 私は彼のためだと理由をつけて、あの優しくて愛おしい人の心を傷つけたのだ。

 ゆっくりと深呼吸し、各国の重鎮たちが行き交う会場に目を向ける。

 その中には外交官たちの姿もあった。

 会っていいはずのない北斗の面影を探してしまい、自分が嫌になる。

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