エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 彼のもとを去った後、私は二度と恋愛をしないと決めた。

 幸せにならないように、働いた稼ぎは最低限を残してすべて実家に入れている。

 彼への直接的な贖罪にはならないけれど、少しでも自分に罰を与えたかったから……。

 軽く唇を噛み締めた時、不意に私のほうへ近づく人物に気がついた。

 彫りが深く、目鼻立ちがはっきりした男性だ。

 髪も瞳も日本人と変わらない焦げ茶色だが、顔立ちから外国の来客なのだとわかる。

「May I help you?」

 なにかお困りですかと英語で話しかけると、男性は軽く肩をすくめた。

 そして自分自身と私の胸もとを指さし、にっこりと笑いながらなにかを言う。
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