エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 なにより、こういう時に対応できるようサポートスタッフとして駆り出されたのだから、と胸を張ってお客様用の完璧な笑顔を作る。

 だけど、口を開く前に突然手を取られた。

「えっ」

 思わず、普通に日本語での驚きがこぼれる。

 なにごとかと思ったら、目の前の男性は握った私の手を自分の口もとに引き寄せた。

 確かに気軽にハグをしたり、挨拶でキスをする文化圏の人もいるけれど……!

 予想していなかったのもあって、咄嗟にすぐ反応できなかった。

 まるで王子様がプリンセスに口づけを贈るようにキスされかけたその時――。

「Entschuldigung(失礼します)」

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