エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 ただ、たとえこの場にそぐわないキスでも今の北斗を咎めるのは難しいように思えた。

 前髪を上げ、上等なスーツに身を包んだ彼は、妻として隣にいるのが恥ずかしくなるほど見目麗しい。

 来場者の中にも海外のモデルか俳優かと思われるような美貌を持った人がいるが、そんな彼らにまったく負けていなかった。

 つい見とれていると、私の視線に気づいたようで顔を覗き込まれる。

「一度だけじゃ足りなかったか?」

「そ、そういうのじゃないよ」

 またキスをされそうになり、慌てて北斗を止める。

 冗談だったようで、くすくす笑われた。

「いつもと雰囲気が違うから、別人みたいだなって」

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