エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 普段、私に触れる時と違いこわばっている。

 どうしたのだろうと気になるものの、ふたりの前では聞けそうにない。

「それで? 君がいるなら、エリックも招待されているんじゃないのか?」

「よくわかったね。呼んでこようか」

「いや、こっちから行く」

 そこでようやく北斗が私の手を離した。

「ここで休んでいるといい。俺は旧交を温めてくる」

「えっ……」

 旧交を温めるような間柄の知り合いには紹介してくれないんだろうかという気持ちが、つい不安げな音になってこぼれる。

 北斗は苦笑すると私の背に手を添えて引き寄せ、こめかみにキスをした。

「ひとりが心細いならやめておく」

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