エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 ただでさえ感じていた孤独と不安がますます強くなり、この場から逃げ出したくなる。

 逃げてしまってもいいんじゃないだろうか?

 だって北斗は握手を遮るし、会話の主導権を握って私が話せないようにするし、自己紹介したいと言ったら驚いた顔をするくらい、妻の存在を脇に追いやっている。

 彼にとっても私を連れて来た意味がないんじゃないかと思ったけれど、ふと、なにもできない妻なのだと笑いものにするためなら話が変わってくると気づいた。

 不安がまた大きくなって、目の前がぐるぐると揺らぎ始める。

 考えすぎだと北斗を信じきれないのは、復讐という言葉と、今ひとりにされている状況のせい。

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