エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 赤ワインがしっかり染み込んで、裾まで色が広がっている。

 拭ったところで落ちるとは思えず、途方に暮れてしまった。

「化粧室でシミを抜いて……。でもどっちにしろ、今日のパーティーではもう……」

 周囲から聞こえる違う国の言葉が怖くなって、わざと心の声を口に出す。

 誰かに助けを求めたくても近くに日本人の姿がない。

 もしかしたら日本語がわかる人がいるかもしれないけれど、突然のトラブルのせいで完全にパニックに陥っていた。

 どうしよう、これでは北斗にも迷惑をかけてしまう。

 今日は絶対に失敗しないと決めていたのに。彼がちゃんと利用できる妻でいなければならないと思っていたのに……。
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