エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「ひとりにして悪かった。とりあえず着替えが先だな」

 手を引かれ、されるがまま北斗の後をついていく。

 さりげなく自分が壁になってドレスの汚れを隠そうとしてくれる優しさに、また涙がこぼれた。



 パーティー会場の広間を出た北斗は、ホテルのスタッフに事情を説明してくれた。

 たまたま空いていた小部屋に案内してもらい、ふたりきりになる。

 その頃には私も落ち着いていて、情けない気持ちしかなかった。

「ドレスが汚れたくらいで泣くなんて恥ずかしい……」

「いろいろ積み重なったせいだろう。俺のせいだ」

 優しい気遣いも、今はつらい。

「そばにいればよかった。心細かっただろう」

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