エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「普通に褒めたつもりだったんだが、確かにそうだな。そう思われても仕方がない」

「だ、騙されませんよ」

「騙されてもいいと思える男でありたかったな。残念だ」

 どこまで本気で言っているのか、さっぱりわからない。

 次の出方を窺っていると、彼はそんな私を見てまた笑ってから前を歩き始めた。

「広場はこっちだ。また日本人が通りかかるのを待つより、俺に従ったほうが時間を有効活用できると思うが、好きにしてくれ」

 そう言うと、彼は振り返らずに通りの道を歩いていく。

 怪しすぎるけれど、彼の言う通りではある。

 自力でなんとか脱出するより、ひとまずついていったほうがいいかもしれない。

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