エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 周りに人がいないわけではないし、声をあげれば誰かしら助けてくれるだろう。

 そう判断し、意を決して人混みに紛れかけている彼の背中を追いかけた。



 十分後、私は彼とふたりでサン・マルコ広場に面したカフェのテラス席にいた。

「疑ってごめんなさい……」

「真面目だな」

 彼は私をちゃんと案内してくれたばかりか、どこへ行けば水上バスに乗れるのか、行きたいと思っていた店がどこにあるのかを親切に教えてくれた。

「まだ謝ってもらうほど君の信用を勝ち取れたとは思っていないんだが」

「でも、道を教えてくれました」

「……もう少し警戒したほうがいい。本当に高校生じゃないなら」

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