エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
「日本語が通じてイタリアに詳しい案内人が必要なら、ちょうど暇を持て余している男を紹介できるんだが」

 どうする、と言わんばかりに見つめられ、彼が自分自身を示しているのだと気づいた。

「どうしてそこまでしてくれるんですか? まだ会ったばかりなのに」

「ここでコーヒーを飲んでいるより、君といたほうが楽しそうだ」

 特段甘い言葉を囁かれたわけでもないのに、どきりとした。

 私のほうこそ、彼と過ごしたらきっと楽しい旅行になると思っているなんて。

「ガイドをしてくれるならすごく助かります。だけどお返しできるものが……」

「もうもらった」

 そう言った彼が、テーブルに頬杖をつく。

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