エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 そう言って北斗が気まずそうに目を逸らす。

 私が報告した時、彼はしばらく硬直してから突然泣き出した。

 自分でも驚いたようで、なかなか止まってくれない涙にうろたえていたのを覚えている。

「北斗も泣いたの? 見たかったな」

 真っ赤な顔をくしゃくしゃにしたロッコさんが話しかけてくる。

「それはもうすごかったですよ」

「意外だな。北斗はみんなに優しいけど、女の子にはいい意味でも悪い意味でも平等だったんだ。だから恋愛なんて興味ないのかと思ってた。好きな人の前では違うんだね」

 話題の中心になった北斗はそっぽを向いていた。

 泣いた話をしたから拗ねているらしい。

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