エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 まだ自分が彼を好きだと気づいてしまった――。

「……仕事中でしょ」

 ぐちゃぐちゃになっている頭を冷やそうと、あえて口に出してつぶやく。

 自然と足が速くなるのを感じながら、会場の端から端へ移動した。

 それでもまだ胸は不穏に高鳴り続けていたけれど、勇気を振り絞って背後を見てみる。

 そこに、かつての婚約者の姿はなかった。



 レセプションが無事に終わり、同僚たちが安堵の息を吐いている間も私の心は休まらなかった。

 彼はどういうつもりで私と話がしたいなんて言ったのだろう?

 どんな話をするつもりであんな誘いを?

 気になるけれど、それは知らないまま終わらせるべきだ。

< 24 / 245 >

この作品をシェア

pagetop