エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす

「ロッコの知り合いには有名人も多い。君のおかげで仕事が広がるかもしれないな」

「私のおかげ? なにもしてないよ」

「俺は君がいるから笑えるんだ」

 いつもと同じさらりとした言い方だったけれど、北斗の言葉は私の胸に深く染み込んだ。

 私も彼を傷つけた後、ずっと笑えなかった。

 寂しい結婚をしてから、いつの間にか作りものじゃない笑みを浮かべられるようになった気がする。

 もちろん、百合先生やロッコさんとの出会いも大きい。

 だけどふたりに会えたのだって、北斗のためにイタリア語を覚えたいと思ったのがきっかけだ。

「私も北斗がいないと笑えないよ。これからも一緒にいてね」

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