エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす

「着替えないの?」

「ベッドの外は寒すぎる」

 だからもう少しこうしていたい――と抱き締められ、こめかみに口づけを落とされた。

 触れられるのがうれしくて、くすぐったい。

 でも同時に、切なくて悲しい。

 私を求めている様子を見せながらも、彼はこの先に踏み込んでこない。

その事実が、これは復讐のための結婚なのだと思い知らせてくるから。



 夫婦になってから初めてのデートは、やけに私の緊張を誘った。

 シンプルなシャツとパンツに、グレーのジャケットを羽織っただけの北斗が妙にかっこよく見える。

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