エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 ホテルで再会した時の上品なスーツ姿も素敵だけれど、ラフな格好も魅力的だなんてずるすぎる。

 一方の私は水色の薄いワンピースに長袖の白いカーディガン。

 デートにしては質素な装いなのに、家を出る前に北斗は褒めてくれた。

『今日は服を買えないまま帰ってくることになるかもしれないな』

『どうして?』

『今の君が充分素敵だから』

 咄嗟に反応できなかった自分が悔しい。

 私が喜んでいたことに、彼は気づいただろうか?

「純美、手」

 声をかけられて顔を上げると、半歩前を歩いていた北斗が手を差し伸べている。

「外だよ」

「だから?」

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