エリート外交官はワケあり妻を執愛で満たし尽くす
 心の中でそう言っても、どちらにせよ私には拒否権がなかった。

 彼の復讐に付き合わなければ。かつて私が傷つけた贖罪のために。

 意を決して彼の膝に乗り、不安定さに戸惑いながらうつむく。

 正座をするわけにはいかなかったから、足を開いてまたがるように座らなければならないのが死ぬほど恥ずかしかった。

「顔が赤いな」

「誰のせいだと思ってるの……?」

 低い笑い声が聞こえると同時に、指で顎を持ち上げられる。

「下を向くな。ちゃんと顔を見せてくれ」

「見ないで……」

 いつもと違い、顔を覗き込むように見上げられているのが落ち着かない。

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