君に甘やかされて溺れたい。


 じ、と見つめる藍良くんの視線にドキドキして、なんて答えたらいいかわからない。


「王子様じゃなくていいよ」


 真っ直ぐ目が見られなくて、俯きながら答えた。


「藍良くんは藍良くんのままで素敵だから」

「紅ちゃん」

「私、もっと藍良くんのこと知りたいな」


 もっと知ってみたくなった。

 殻に閉じこもっていた私を、優しく手を差し伸べて包み込んでくれる藍良くん。

 藍良くんの甘さに触れてみてもいいのかな。


「……すごく、嬉しい」


 藍良くんは見たこともないくらい顔が真っ赤だった。


「そう言ってもらえるの、嬉しいよ」


 か、かわいい。


「えーどうしよ。あんまりこっち見ないでね。めっちゃにやけちゃう」

「……かわいい」


 やっぱり私、もっと知りたい。

 もっと色んな藍良くんを見てみたい。


「かわいいのは、紅ちゃんの方だよ。僕のジャージ着てるの、かわいすぎて無理」

「〜〜っっ」


 でもやっぱり、上手なのは藍良くんのようです。


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