危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる

 言われたことを鵜呑みにしたわけではない。だがそれなりに説得力のある話だった。
当時父親が宝来絡みの裁判を抱えていた時の書類を見直すと、心証は限りなく黒に近づいた。だが、まだ足りない。奴に目の前で自分の犯行を認めさせる。
 両親を虫けらのように殺し、覚えてすらいない。だからこそ、彼らに蓮という息子がいたことなど知りもしない。

「あなた、宝来正道の秘書をして名前まで偽っているんでしょう」

 すでに蓮の現状を調べ上げているらしい。麻美は昔から蓮のことを過剰に心配するところがある。

「あぁ、社会勉強の一環でね」
「……なにか妙なことを考えているならやめて! もう証拠なんて見つからないわ。忘れて前を向いて」

 麻美は昔から勘のいい女性だった。
< 101 / 284 >

この作品をシェア

pagetop