危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「ごめん。叔母さんたちに迷惑かけた」
「蓮! あんなひどいことされたら、怒るの当然だよ」
痛かった、悔しかった。だがそんなことは事件の傷よりずっとマシだった。
相手の親が学校に怒鳴り込んで大変なことになったが、蓮を守る両親はもうこの世にはいなかった。養父母は、蓮を叱らなかった。ただ遠巻きに腫物に触るように、そっと見守り続けることしかできなかった。
ニュースで似たような事件を見るたびに、心の傷がじくじくと痛んだ。
犯罪者をこの世から消してやりたい。それだけが真っ黒な未来の目標だった。
やがて、父が目指した弁護士ではなく検事を目指すようになった。罪人を弁護するよりは、厳罰を求めるほうが、自分には向いていると思った。
目標を得たことで、表面的には蓮は優等生のようにふるまった。
よく学び、体を鍛えて、静かに牙を研いだ。
だが、実の両親と暮らしていた頃と中身はもう変わっていた。内面に吹き荒れるどうしようもない憎しみや怒りは、人に悟られてはならない。
憎しみは蓮の心を歪ませた。ひどいやけどを負った皮膚のようにもう元へは戻らない。