危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
 ただ決定的な証拠には欠けていた。おそらく立件は難しいが、別件ならば宝来正道を不正行為で破滅させることはできる。
 いつか本人と対峙して直接問いただすつもりだ。そうしないことには、蓮の戦争は終わらない。

 浅い夢から覚めるとまだ午前四時だった。もう少し寝てからすみれを迎えに行かねば、と思ってからすみれが家を出た事実を思い出した。
 二人の関係を思うと、もう二度と会うことはないかもしれない。言いようのない喪失感に襲われる。
すみれという存在が心の空白にいつのまにか住み着いていた事実に気づく。だが、それは不毛というものだ。なにも実らない。誰も幸せにしない。

 出勤前に仕事用のスマートフォンが鳴り、過去から現実へと引き戻された。
 宝来正道だった。
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