危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「そう。妊婦だし体調も悪そうで、追い返すわけにもいかなくて……」
「すぐに行く」
 
 蓮に住所を教えると、すぐに来てくれるという。こんな時思い浮かぶのが蓮しかいなかった。
 一人で予想外の出来事に出くわして心細い中、心底ほっとする。

 ──病院に帰さないと。

 すみれに非はなくとも、放っておくわけにもいかない。

「今知り合いが車で来てくれるから、病院まで一緒に行くわ」
「……どうして私にまで優しくするんですか。嫌がらせしたの知ってるんでしょう」
「優しくなんてしてるつもりはないの。ただお腹の赤ちゃんに罪はないから」

 そう言うとマナはわぁわぁ泣き出した。そして自分の生い立ちを語り出す。

 親から虐待され、年齢をごまかして風俗で働いたり、売春まがいのことをしてきたこと。
 スカウトされ、銀座の高級クラブで働くようになり、そこで達也と知り合ったこと。
 達也と結婚すれば、今までの苦しい暮らしや惨めな境遇から抜け出せると思ったこと。
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