危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
「ごめんなさい。心配かけて」
蓮の背に手を回す。そうして何度も忘れようとした気持ちが消えていないことに気づく。
──やっぱりだめだ、この人が好きだ。
奥ではまだマナが泣いている声がする。
妊娠は相当心身に負担がかかるという。本当は許してはいけないのかもしれないが、誰も頼る人がいない中で妊娠するきつさは想像できる。
マナが起きてから、二人でマナが元々入院していたという病院に連れていった。マナに温かいお茶を渡して、受付に事情を話す。
看護師が迎えに来るのが見えるとマナが静かに語り出した。
「私、許せなかったんです。生まれつきお金持ちで、親からも愛されてる人に達也さんを取られるのが」
真実はどんな角度から見るかで姿を変える。マナから見れば、すみれは何不自由なく幸せで、そして疑いもなくそれを享受する傲慢な女なのだろう。
ある意味それも真実で満たされず、寂しいと思うすみれが間違っているのかもしれないとすら思う。
じっとこちらを見つめるマナを見る。憎しみと悲しみの混じった目。
「本当は刺してやろうと思ってナイフを持ってたの」
その言葉に背筋が寒くなる。蓮がかばうようにすみれの前に立った。