危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
ささやかな幸せ 

 ささやかな変化だが、あれ以来蓮と名前で呼ぶようになった。小さなことだが、こそばゆい。そして嬉しい。まるで中学生みたいだ。

 それから、すみれの住む1DKのマンションに蓮がやってくるようになった。
 二人の関係にまだ名前はない。恋人だとか彼氏だとか、なんだかそのどれもふさわしくない気がした。
好きだと言われたことはなかったけれど、蓮の気持ちを疑うことはなかった。
 蓮はまるで宝物でも触れるように、すみれを扱う。それだけで十分だった。

 二人は恋人のように、会うたびにキスをして、抱き合って一緒に眠る。
 それだけで、今までずっと空っぽだった心の隙間がぴたりと埋まるような気がした。蓮もそうだといい。
 二人が交わす言葉は最小限で、それでも互いが互いを強く必要としていることは肌を重ねているだけで感じられた。
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