危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
蓮がこれまでどんな人生を送ってきたのか、わからない。だけどもしかしたら自分以上に寂しい思いをしてきたのではないか。
単なるあてずっぽうの直観に過ぎないけれど、確信めいたものがある。
──誰にだって、言いたくないことはある。蓮が言いたくないなら言わなくていい。
すみれにだって人に言わずに生きてきた痛みや苦しさは存在する。
ただ今は、初めての激しい恋に身を焦がれている。今まで蓮なしで生きてきたのが信じられないほどだった
「たぶん、幸せだった」
蓮が重い口を開く。
「たぶん?」
「自分は普通だと思ってたから特別幸せだとは思ってなかった。でも失くしてみると、本当に幸せだったんだと気づく」
蓮が失くした幸せとはなんだろう。その言葉のもつ重さに、深く聞くことはやはりためらわれた。
「今は? 幸せ?」
「ん」