危険な略奪愛 お嬢様は復讐者の手に堕ちる
幸せな日々
仕事を終え、すみれはいつもの書店に足を運んだ。仕事で使う資料を探しにきたが、本は好きなので何時間でも見ていられる。
書店内は、仕事帰りの人で溢れていた。新刊コーナーに目をやると、一際目立つカバーデザインの単行本が置かれていた。それは蓮の好きな作家の最新作だった。
──蓮に教えたい。
手に取ってページを少しめくる。独特の筆致と心に響く言葉が並ぶ。すみれは蓮のことを思い浮かべた。まだ週末でもないのに、会いたくなる。
──少しだけでも会えないかな。
スマートフォンを取り出して、すぐに蓮にメッセージを送った。
[今日少しだけでも会えない?]
一体いつからこんなに蓮のことで頭がいっぱいになってしまったのだろう。
すぐに返事が来た。
[うちに来る?]
[いいの?]